Weeklyニュース 今週の通貨&為替ニュース

「調整円安」反転のきっかけとは?

Posted by 吉田 恒 2009年3月 9日 12:38

T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

円安・ドル高は先週一時100円に迫る動きとなった。ところでこれは、移動平均線との関係などでみると、2007年6月から展開している今回の円高基調での「調整円安」としては、昨年8月110円を記録した動きを上回ったことになる。その意味では短期円安行き過ぎの可能性があるだろう。ではそれが一巡し、円高へ転換するきっかけは何か。一つの鍵は、ドル全面安への転換ではないか。

「ドル実効相場高=米株安」はまだ続くのか

この数ヶ月、ドルと米株は基本的に逆相関で展開してきた。ドルと言ってもドル円ではなくて、総合力を示すドル実効相場だ。そしてこの両者は、今年に入ってからはドル実効相場高=米株安が続いてきた。その意味では、株安が一段落するかはドル安になるかということであり、ドル高が終わるかは株高に転換するかということになる。

ところで、なぜこのような逆相関が続いてきたのか。米国のリパトリエーション(資本の母国回帰)との説明がある。米株安で、米国への海外資産引き揚げが拡大する結果が「株安=ドル高」をもたらしているということだ。

ただ、それ以上に米ドルが世界的なキャッシュ・ポジションの位置付けになっているとの見方もある。株安が続く中で、リスク回避からキャッシュ化の需要が高まり、それは基軸通貨ドルの需要になっているといった考え方だろう。その意味では、株安が一巡しキャッシュの取り崩しが始まると「株高=ドル安」になるというのも辻褄は合う。

さて、こんなふうに考えてくると、とくにユーロドルの1.25ドル攻防は、株安の行方を考える上でもきわめて重要だ。ドル実効相場とドル円の動きはかなり違うが、ユーロドルとはよく似ている。つまり年初から続いてきた「ドル実効相場高=米株安」の転換は、「対ユーロでのドル高=米株安」転換と基本的には同じだからだ。

対ユーロでのこの間のドル高値(終値ベース)は、昨年11月20日に記録した1.2456ドル。これまで見てきた米株とドルの逆相関が続いているなら、米株安が終わっていなければ、ドルは1.25ドルを大きく割り込み、対ユーロ高値更新に向かうだろう。ただそうならなければ、米株安が一段落しつつある可能性があるということになるだろう。

さて、もしもドルが1.25ドルを抜けず、年初からの「ドル高=米株安」が一段落したということになった時、ドル円はどうなるだろうか。似たようなケースが起こったのは昨年11月下旬から12月中旬にかけてだった。この時はドル全面安となり、ドル円もドル安・円高となったが、これが参考になるのではないか。

実効相場の「調整円安」も昨夏以上に

とくに最近は、短期円安行き過ぎが警戒される段階に入っていると考えられる。その意味でも、行き過ぎた円安の氏終了、円高への転換としてドル全面安への転換は一つの目安になるだろう。

たとえば、昨年の調整円安ピーク、昨年8月に110円台を記録した時、ドルは短期90日移動平均線を4%超上回ったのが最大だった。そしてそれはもちろん、今回の円高・ドル安基調が展開する中では、90日線に対するドルの最大プラスかい離率でもあった。

ところが、最近にかけてドルが100円近くまで上昇する中で、90日線に対するプラスかい離率は5−6%まで拡大した。つまり、今回のドル高・円安は、90日線との関係で見ると、あの昨年8月の110円を記録した調整円安を上回るものになっているということだ。

前回の調整円安の動きを上回ってきたということは、この動きが調整にとどまらず、基調転換ということなのだろうか。そうでなければ、調整円安としては行き過ぎ警戒域に達してきた可能性がある。

同じことを、円の総合力を示す実効相場でも見てみよう。円実効相場は、短期90日移動平均線を今月に入って4%以上も下回ってきた。今回の円高局面で、それと逆行する90日線を下回るという動きが最大になったのは、これまでは昨年7月で、90日線に対するマイナスかい離率は3%超に拡大したが、最近はそれを越えてきたわけだ。

こんなふうに見ると、円はドルに対してだけでなく、クロス円も含めて全体的に「下がり過ぎ」の警戒域に入っている可能性があるだろう。もちろんそれはあくまで短期的な話ではあるが。(了)




ソーシャルブックマークへ投稿:
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Hatenaブックマークに追加
  • livedoorクリップへ追加
  • newsingへ投稿
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • Choixへ追加
  • del.icio.usに追加

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 「調整円安」反転のきっかけとは?

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.wakaru-fx.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/11197

コメントする

ページトップへ