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ドル急落、対円への波及が次の焦点

Posted by 吉田 恒 2009年3月23日 12:53

T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

今年に入ってからドルの総合力を示す実効相場は上昇傾向が続いてきた。これを支えたのは「有事のドル買い」と米金利上昇のおもに2つと考えられる。「有事のドル買い」はこの間のレポートで書いてきたように、金融・経済危機といった「有事」が広がる中で基軸通貨ドルへ買いが集中したということ。そして米長期金利は今年に入ってから2%から3%へ上昇基調が展開した。さて、この2つのドル高要因は、先週までに反転。これを受けてドル実効相場は急落している。今後はこの動きが対円にも波及するか注目される。

ドル金利の低下余地は限定的か

18日FOMCは、一般の予想に反して長期国債購入を発表するといった「サプライズ」の結果となった。このため、金融市場の反応は物凄いことになった。米長期金利(10年債利回り)は3%から2.5%台へ一気に0.5%もの急低下となった。また、ドルも対ユーロでは1.30ドルから1.35ドルへ何と500ポイントも、対円でも98円台から一時95円台へ急落した。

FRBが直接米国債を買うと表明したのだから、米国債相場が急騰、利回りが急低下し、そんな米国債利回りとユーロドルはともかくドル円の相関性が高いことからすると、このような動きになったのは当然だろう。問題はもっと米金利が下がるかであり、それはドルがもっと下がるかといった意味にもなる。

ただ、私はこれから先の米金利の低下余地は限られるのではないかと思っている。理由は、米金利が短期的にも長期的にも「下がり過ぎ」領域に入ってきたからだ。

短期90日移動平均線からの米長期金利のかい離率は、18日現在でマイナス7%に急拡大した。前日までのプラス10%超から急反転となったわけだ。90日線からのかい離率は±10%以内が基本。つまり17日まで短期的に上がり過ぎていた米長期金利は、それが一気に修正され、そして今度は一転短期的に下がり過ぎ気味になってきたわけだ。

単純計算すると、90日線を10%以上も下回るのは2.4%程度になる。その意味では、目先的に米長期金利の2.5%割れがないとはいえないが、それ以上の低下となると短期下がり過ぎ警戒域ということになるだろう。

ましてや長期的にはかなりの下がり過ぎになっている。5年移動平均線からのかい離率はマイナス40%まで拡大してきた。米長期金利が5年線を40%以上も下回るのはかつてほとんどないといった意味では「異常値」だ。

18日の、米金利急低下、ドル急落の「FOMCショック」は、基本的には短期的な米金利上がり過ぎの反動が主因だったと私は思っている。それはすでに修正され、状況はたった一日で米金利の短期的な下がり過ぎ気味、長期的な下がり過ぎ「異常値」に変わった。その意味では、ここから先の米金利低下、ドル下落余地には冷めた見方になるわけだ。

FOMC長国購入は「サプライズ」なのか

今回のFOMCの長期国債購入決定は「サプライズ」との受け止め方が多かったようだ。ただ客観的にみると、確実に長期国債購入の可能性は高まっていたとも思う。理由は長期国債が下落、利回りが一段と上昇していたからだ。

前々回FOMC(昨年12月16日)、前回FOMC(1月28日)当時の米10年債利回りはともに2.5%程度だったのに対し、今回は3%になっていた。米国債が上昇している中で、さらにFRBが買いに動くとなると、相場を人工的に操作していると批判されかねない。しかし米国債が下落(利回り上昇)、つまり買い手が少なくなる中で、FRBが買いに動くのは受け入れられやすかっただろう。

これは為替で考えるとわかりやすいだろう。下がっている円を日銀が売り介入に動いたら、円安誘導として総スカンを食らうだろう。円売り介入が容認される最低条件は、円が上昇している時、つまり相場と逆方向でのことである。

話を米国債に戻そう。それでなくても、短期移動平均との関係を見ると、米国債利回りはそろそろ短期的な上がり過ぎ懸念の領域に入っていた。3月17日現在で、90日線からの米長期金利かい離率はプラス10%を超えてきた。これは昨年6月や、一昨年6月、ともに米長期金利が当面の天井を打った時以来のこと。

このようにみると、米金利はそろそろ上がり過ぎの反動に転換することを警戒すべきタイミングに入っていたと思うし、「FOMCサプライズ」はそのきっかけになったと思う。(了)






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