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金の「不吉なアナロジー」

Posted by 吉田 恒 2009年11月19日 12:11

T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

当たり前のように続いていたユーロ高はいつしか終わった。ところでそれは、ドル安の終わりでもあった。そして金上昇の終わりでもあった。数ヶ月で3割も上昇した金相場は、その後1ヶ月で2割の急落に向かったのである--。

これは、最近のユーロ高、ドル安、金上昇について説明したものではない。最近の状況と似てはいるが、2006年5月前後の動きを解説したものだ。

ところで、そんな2006年5月と最近のユーロは似た状況にあるのではないかと、この間のレポートで書いてきた。もし似ているなら、ドル安も、そしてとりわけ金相場上昇への類似性も注目されるだろう。

「ユーロ高の終わり」から始まるシナリオ

数ヶ月のユーロ続伸相場が一服し、ユーロ高値保合いといった横這いの展開にシフトした代表的な例として、2002年7月と2006年5月があったということを以前のレポートで何度か紹介した。今回はそれらに続く3度目のユーロ続伸から横這いへの転換点の可能性が注目されている。

このうちとくに2006年5月は、ユーロドル横這い相場への転換と金相場が大幅上昇から急落へ転じたタイミングが重なった。これは当時の金相場上昇が「ドル下落に伴う代替投資」といった要因で理解されていたからではないか。「ユーロ高・ドル安=金相場上昇」と位置づけられていた結果、「ユーロ高・ドル安一服=金相場急落」になったということではないか。

この2006年5月は、ユーロが3週連続で週末終値を下回ると、それまで数ヶ月続いてきたユーロ上昇相場から長い横這い相場へ移っていった。さて、先週末までにユーロは3週連続で週末終値を下回った。2006年5月と同様に、これでこの数ヶ月続いてきたユーロ高・ドル安が一息ついたなら、金相場も2006年5月と同様に「ドル下落の代替投資」の上昇が終わり、急落に転じるのだろうか。
今回の金相場は、4月の860ドル台から最近にかけて1120ドル台まで3割もの急上昇となっていた。2006年5月と同様に、これから短期間に2割急落が起こるなら、900ドルまで下落する計算になるが、果たしてどうか。

バーナンキ発言の狙いとは?

16日、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長が異例のドル安けん制発言をおこなった。ところで、このような「異例の発言」が前回おこなわれたのは、昨年6月3日だった。この時、バーナンキの「本音」は、ドル安より、それに伴うインフレ期待からの原油などコモディティー相場急上昇にあったとの見方が有力だった。

そして、実際の原油高は、昨年6月3日の「異例の発言」から1ヵ月後に終値ベースで145ドルの最高値を記録した後に急落に向かった。そして、金相場への影響はより早く、「異例の発言」があった6月3日の前日、6月2日で当面の頭打ちとなり、反落へ転じた。

さて、こんなふうにみてくると、今回の異例のドル安けん制も、ドル安以上に、それを受けたインフレ期待の動き、具体的には原油高や、そして金相場の急騰を意識した可能性があるだろう。昨年は、「異例の発言」から、原油反落となるまで一ヶ月、金相場反落となったのは直後だったが、果たして今回はどうか。

バーナンキ発言とは別に、上述のように、ドル安・ユーロ高の動きに微妙な変化の兆しがあるだけに、ドル安の一段落、それとともに金相場上昇から反落への動きが近い可能性は十分ありそうだ。(了)

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