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ユーロ高一服が示唆する「波乱」の芽

Posted by 吉田 恒 2009年11月24日 10:19

T&Cフィナンシャルリサーチ代表取締役吉田恒

数ヶ月続いてきたドル安・ユーロ高に変調の兆しが強まってきた。ところで、過去において今回と同じようにドル安・ユーロ高が重要転換点を迎えたケースとして、2002年7月、2006年5月があった。このうち後者は、金相場にとっても急上昇から急落への転換点と重なっていた。今回の場合も、そんなふうに、この数ヶ月の金相場急上昇が変化するなら、それが円相場へ及ぼす影響が一つ波乱要因になる可能性があるだろう。

ユーロ続伸一段落から始まる「円高シナリオ」

ユーロは10月23日に記録した1.50ドルという週末終値の高値を、先週まで3週連続で更新することができなかった。これは経験的にはユーロ続伸相場から横這いへの転換が始まっている可能性を示すものだ。

今回と同じように、数ヶ月いわゆる「押し目」も作らず続伸してきたユーロが、その後半年も続く横這い、高値保合いに転換したというケースは、2002年7月と2006年5月の2回あった。

ところで、この2回は、ユーロ高の転換ということだけでなく、ドル安の転換点ともなっていた。これは普通に考えてみてもわかりやすいだろう。ドルに次ぐ主要通貨であるユーロに対するドル相場は、ドルそのものの評価とかなり近いので、ユーロ高の転換点ということを裏返すとドル安の転換点になるというのは当然だろう。

実際、ドルの総合力を示す実効相場は、この2002年7月、2006年5月に当面の底打ちとなっていた。そうであれば、今回の場合も、ドル実効相場は当面の底を打ったか、打ちつつある可能性はあるだろう。

ところで、今回の場合、さらに金相場との関係に注目してみた。金はドルの「代替投資」と位置づけられることが多く、最近もまさにそんな説明をよく聞く。では、ユーロ高・ドル安にとって重要な転換点となった2002年7月、2006年5月に金相場の動きはどうだったか。

前者の場合、金相場に顕著な動きは見られなかった。そもそも、この2002年7月を前後し、金相場は一進一退の方向感の乏しい展開が続いていた。ただ後者、2006年5月の金相場はとても興味深い動きになっていた。

2006年5月までの2ヶ月で金相場は3割もの急騰を演じていた。ところが、この5月を境に、その後1ヶ月で金相場は2割の急落に向かっていたのである。おそらく、この2006年5月までの金相場急上昇も、「ドル下落の代替投資」が買いの材料と説明されていたのだろう。その意味では、上述のようなユーロ高・ドル安の一巡は金相場上昇にとっては「梯子を外された」ようなかたちになったのではないだろうか。

今回の場合も、もしもユーロ高・ドル安が一段落で、そして金相場が反落に向かうなら、円相場への影響はどうだろうか。ちなみに、先に紹介した今回と似ていると考えられる2002年7月と2006年5月は、ともにドル安・円高の一段落となっていた。では今回も、年内のドル安・円高は終わりということになるだろうか。

私はその点は微妙だと思っている。むしろ金や原油の上昇が下落に転じるなら、豪ドルのような資源国通貨も反落に転じ、それはクロス円での下落(円高)を通じてドル円も年内最後の円高・ドル安を後押しする可能性があるのではないかと思っている。(了)


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