Weeklyニュース 今週の通貨&為替ニュース

クロス円主導、年末円高第二波のリスク

Posted by 吉田 恒 2009年11月30日 12:38

T&Cフィナンシャルリサーチ代表取締役吉田恒

ドルは1月に記録した今年の対円安値をようやく更新してきた。ただそれは、私が想定した金反落、などを受けたクロス円主導の円高・ドル安ではなく、ドル全面安の中での円高だった。その中で、ドル下落の代替投資として金はなお続伸の流れに著変がない。ただこのような金相場上昇にも、いよいよ短期的な行き過ぎ限界感が強まっている。12月にかけては、主役をクロス円に移した形でのもう一段の円高がありうるのではないか。

金、短期上がり過ぎの反動に引き続き注目

ドルは先週全面安再開となった。きっかけは、11月FOMC(米公開市場委員会)議事録が公表され、低金利維持が再確認されたことと一般的に解説されている。

ただ、米金利もかなり短期的な下がり過ぎ懸念が強くなってきた。政策金利を反映するという米2年債利回りは、90日移動平均線からのかい離率がマイナス20%を大きく超えてきた。これは経験的には短期下がり過ぎ懸念が強いことを示している。米10年債利回りの同かい離率も、マイナス5%を超えてきた。短期下がり過ぎ気味の動きになってきたことを示している。このようにみてくると、米金利低下を理由としたドル全面安が目先的に一段と広がるには限界があるのではないか。

そもそも、ドル円は11月半ばまで「異常な小動き」が続き、その意味では「一波乱」の余力を残していたと思われる。しかし、今回の年初来ドル安値更新の動きにより、11月としては「平均以上の動き」となってきた。

この辺りについてもう少し解説する。今月半ばまでのドル円値幅は3円未満にとどまっていた。ただ、2000年以降の統計でみると、月間値幅が3円未満というのは5%の確率しかなかった。その意味では「異常な小動き」ということになるだろう。

ところが、今回の年初来ドル安値更新で、11月の値幅は6円を大きく超えてきた。2000年以降の11月ドル円値幅平均は5円だから、11月としてはむしろ「動き過ぎ」気味になってきたといえるだろう。ここからさらに、短期下がり過ぎ気味の米金利を材料としたドル全面安が続くかは微妙だろう。

12月アウトルック=ドル円年間値幅からは余力あり

このように11月としては平均以上の動きになってきたドル円だが、年間の値動きという観点でみると、まだ余力を残している可能性はある。ドル円の年間値幅は平均20円弱だが、今年はドル高値が101円だから、81円までドル安・円高になってはじめて平均並みの値幅となり、今のところまだ平均値幅を大きく下回っていることになる。別な見方をすると、年末までに一段と値幅を拡大する余地もあるだろう。

ただそんな一段のドル安・円高は、これまでみてきたことからすると、ドル全面安シナリオの下で展開するのは難しいのではないか。それよりも、引き続きクロス円主導の円高シナリオは残っており、それがドル安・円高も後押しするというのが現実的なところではないか。

この数ヶ月ドル全面安と反比例してきたのが、金相場の急上昇だ。しかしその金上昇も、一段と短期上がり過ぎ懸念が強くなってきた。金の90日線からのかい離率は、プラス15%を超えてきたが、これは過去10年間で4―5回しかなかったこと。それだけ短期上がり過ぎ懸念の強さを示している。そしてこのような金の短期上がり過ぎを後押ししてきたのが、ドル下落に伴う代替投資の動きだ。

以上からすると、ドル全面安シナリオが限界に達し、ドル下落の代替投資の金買いが逆流、短期上がり過ぎの金相場が反動で反落、それが金と連動性の強い高金利通貨などを一段と下落させ、クロス円主導で円一段高になるシナリオは、年内最後の円高を演出するシナリオとして要注意ではないか。(了)


ソーシャルブックマークへ投稿:
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • Hatenaブックマークに追加
  • livedoorクリップへ追加
  • newsingへ投稿
  • BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマーク
  • Choixへ追加
  • del.icio.usに追加

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: クロス円主導、年末円高第二波のリスク

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.wakaru-fx.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/12197

コメントする

ページトップへ