スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

英CPI上昇受けてポンドが全面高 (2011/3/23 (水))

昨日の概況

前日の海外市場で株高が進行したことや、格付け会社ムーディーズが「日本の経済、ソブリンクレジット、企業セクターのダウンサイドリスクは高まった」との見解を示したことを受けて、東京市場序盤は81.25円付近と上値を試す動き。しかしこの日も介入が見送られたうえ、3月期末を控えたリパトリと見られる円転フローが断続的に持ち込まれたことから80.90円付近まで反落。日経平均は400円高となったものの、前日のシカゴ日経平均先物の上昇の範囲内ということで新たな円売りにはつながりませんでした。欧州市場序盤は、英国の消費者物価指数の上振れを受けてポンド円が上昇したことから、再度81.10円付近と上値をうかがう動きとなりましたが、欧米の株式市場が軟調な動きとなったことや、欧州高債務国の信用不安を背景にユーロが対円でも売られたことから上値が重くなり、80.90円付近まで反落しました。

ユーロは、アジア市場では日経平均やアジア株の上昇を背景にリスク選好が高まり1.42台前半で底堅い動き。欧州市場では、ポンドの急騰にもつられ、1.4245付近まで年初来高値を更新しました。しかしこの水準では高値警戒感が強く、1.4250付近ではオプションがらみの防戦売りも入ったことからここで頭打ち。「アイルランドの銀行が利払い遅延」などの噂が流れたこともあり、1.4180付近へ押し戻されました。ユーロ円は、ポンド高につられて一時115.50円付近まで上昇したものの、欧米株式市場が軟調な動きとなったことから114.85円付近へ反落しました。

ポンドは、英2月の消費者物価指数が前年比+4.4%と予想の+4.2%を上回り、およそ2年ぶりの高水準となったことから、対ドルは1.6400付近と14か月ぶりの高値を示現。対円も132.95円付近へ急騰しました。センタンス英中銀政策委員は「英国のCPI、今年末に5%を上回る可能性もある。2月のインフレ報告で、いずれ2%に戻るとの見方は楽観的」とタカ派発言していました。

豪ドルは、東京市場午前は利益確定の売りが先行し、対ドルは1.0040付近、対円は81.30円付近まで下押ししましたが、日経平均や中国株の上昇を好感して反発し、欧州市場では一時1.0125付近、82.10円付近まで上昇しました。
一方カナダドルは、原油高を背景に、対ドルは0.9750付近、対円は83.15円付近へ上昇しましたが、カナダ1月の小売売上高が前月比-0.3%(予想+1.0%)、除自動車も前月比±0.0%(予想+0.7%)と大幅に下振れしたことから、0.9810付近、82.50円付近まで反落しました。


本日の見通し

市場筋によると、日銀当座預金増減と金融調節から推計した18日の日銀の円売り介入規模は約5300億円。昨年9月15日には1日で2兆円以上の介入を実施したことを考えると、やや小規模な印象です。また月曜、火曜と介入が見送られたことで、どうやら水準を一気に変えてしまうような押し上げ介入の意図はないとの見方が広がっており、介入後の高値である82円を突破していくような勢いはないと見たほうがよさそうです。シュタルクECB専務理事は「G7は日本が必要と判断すれば再び為替市場に介入する」との見方を示していますが、それは「投機資金が流入し、円高に歯止めがかからなくなる事態」に限られると思われます。

そうなると、市場心理も、「介入警戒ムード」から次第に「介入姿勢を試したいムード」に変わっていく可能性が高いと思います。G7の協調体制はどこまで強固なのか。具体的には、先週金曜日の介入のスタート地点である79.50円付近まで下落したら、また協調介入が入るのか。何か別材料が出て介入後の高値82円を突破していく可能性も皆無ではありませんが、このまま協調介入が尻すぼみに終わってしまうリスクを考えると、現時点では下値をケアしておいたほうがいいと思います。

NYダウは3連騰のあとさすがに息切れとなり18ドル安で引け。ただしウォーレン・バフェット氏のお墨付きがついたこともあり、日本株は本日も堅調な動きとなりそうです。日本経済は短期的には厳しい局面を迎えるものの、震災復興需要で将来的な見通しは明るいとの見方が優勢。福島原発の放射能漏れに関しても、すでに外部電源の接続が完了しており、冷却装置が復旧する見通しが立てば事態が終息に向かう可能性も出て来るでしょう。急激な円高が一服していることもあり、豪ドルなどハイリスク通貨・高金利通貨は上昇余地を試す展開となりそうです。リビアの内戦や多国籍軍による空爆は長期化する可能性があり、原油をはじめ商品市場も当面上昇が続く見通しとなっていることから、資源国通貨を物色する動きも続くでしょう。

ユーロは重要抵抗線の1.4280、115.70円を目前にして上昇一服。このところECB高官が利上げ予告(strong vigilanceとの文言)を連発したおかげで、来月の利上げもほぼ既定シナリオとなりつつあります。一方、アイルランドの一部銀行が利払い遅延との噂や、ポルトガルが支援要請との噂、ソクラテス・ポルトガル首相退陣の噂など欧州高債務国をめぐる不安はなかなか払拭できず、一本調子のユーロ買いも困難なようです。また対円は、四半期末を前に利益確定の売りや日本勢のリパトリのフローが入りやすい局面でもあり、目先は無理をせず次の買い場を待つのが賢明でしょう。

一方予想以上のインフレ加速を受けて、英中銀が4-6月中にも利上げに踏み切る可能性が出てきたことから、ポンドは上値を拡大する展開が予想されます。今夕発表される英中銀議事録で利上げ支持が前回の3名(センタンス委員、ウィール委員、デール委員)から増えているかどうかも注目ポイント。ユーロ売り・ポンド買いの戦略も目先面白いと思います。


予想レンジ
ドル/円:80.50-81.20
ユーロ/ドル:1.4120-1.4220
ユーロ/円:114.20-115.50
ポンド円:131.80-133.80
豪ドル/円:81.20-82.80

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