スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

FRB高官のタカ派発言相次ぎ83円台へ浮上 (2011/3/31 (木))

昨日の概況

東京市場ではFOMC投票メンバーであるフィッシャー・ダラス連銀総裁が「6月以降のQE2延長に反対する」と発言したことをきっかけにドル買いが強まり83円を突破、日経平均が250円高と大幅に上昇したこともあり、一時83.15円付近まで上昇しました。この水準は震災以来の高値とあって、実需の売りオーダーや利益確定の売りも多く、82.80円付近へ反落。米3月のチャレンジャー人員削減予定数は前年比-38.6%と前月の+20.0%より強い結果となったものの、ADP全国雇用者数が+20.1万人と予想の+20.8万人を若干下回ったことから米国債利回りが低下し、ドルもやや上値が重くなりました。しかしホーニグ・カンザスシティ連銀総裁が「FRBは徐々にバランスシートを1兆ドルへと縮小させる必要。政策金利はかなり短い期間に1%へ引き上げるべき。米政策金利のニュートラルな水準はおそらく約2%」と、ブラード・セントルイス連銀総裁も「世界的な混乱が続いていても、FRBは出口戦略の開始が必要な可能性」とタカ派発言したことから、終盤は下げ渋り83円台へ反発しました。ダウも堅調に推移し71ドル高で引けました。

ユーロドルは、ビニスマギECB専務理事が「3月のユーロ圏のインフレは予測と大きく異なる数値にはならない」との見方を示したことや、米国債券運用会社PIMCOが「ECBの政策金利引き上げは周辺国の危機を強める可能性がある」と述べたこと、また格付け会社S&Pがキプロスを格下げしたことも重石となり一時1.4055付近へ反落。しかしその後はシュタルクECB専務理事が「ECBは危機モードからの反転が必要。政策金利は極めて低い」、ビニスマギECB専務理事が「ECBは徐々に金利を引き上げていく」と述べたことから1.4145付近へ反発しました。一方ユーロ円は、株高連鎖を受けたリスク選好の流れや新年度の外債投資拡大観測を背景にアジア市場からじり高の展開となり、欧州市場序盤には117.25円付近まで上昇。一旦116.70円付近へ下押ししたものの、対ドルの上昇や株高連鎖にサポートされ、終盤は117円台を回復し、117.15付近へ持ち直しました。

ポンドは、株高連鎖を受けたリスク選好の流れから、対ドル1.6080付近、対円133.60円付近へ続伸。英3月のCBI流通取引調査が+15と予想の-2を大幅に上回ったことや、「英タロー石油がウガンダの一部権益を29億ドルで売却することで中国海洋石油と合意」と報道されたことも買い材料となりました。

豪ドルは、フィッシャー・ダラス連銀総裁のタカ派発言を受けて一時1.0270付近へ下落したものの、東京・欧米の株式市場が堅調に推移し、リスク選好が高まったことから1.0335付近へ反発し、変動相場移行後の高値を更新。対円も新年度の外債投資拡大への期待感にサポートされ、85.75円付近へ続伸し、昨年5月以来の高値を示現しました。
またNZドルは、高値圏にある豪ドルを売って割安なNZドルに乗り換える動きが強まったことから、対ドルは0.7635付近、対円も63.35円付近へじり高推移となりました。


本日の見通し

ドル円は震災以来の高値圏でスタート。昨日もフィッシャー・ダラス連銀総裁、ホーニグ・カンザスシティ連銀総裁、ブラード・セントルイス連銀総裁とタカ派発言が相次ぎ、米国の出口戦略をめぐる思惑が一段と高まっています。ADP雇用統計は予想を若干下回ったものの、これで14カ月連続の増加を記録。企業の規模や業種を問わず幅広く雇用が拡大しており、明日発表の雇用統計・非農業部門雇用者数(NFP)にも期待感が広がってきました。ちなみにNFPの予想コンセンサスは+19.5万人となっていますが、一部では25万人との予想もあるようです。

震災や原発事故を受けて景気後退リスクや財政悪化によるソブリン格下げ懸念も広がっており、輸出の減少で実需の円買い圧力も弱まる可能性も浮上しています。リスク回避とリパトリによる円買い局面はどうやら終了し、相場は自律反発局面入りした可能性が高く、外国人による日本売りを伴った「悪い円安」となる可能性も浮上してきました。本日は期末最終日で海外送金など実需のドル買いが見込まれるほか、実質新年度入りで投資家の外債投資拡大を先取りする動きも予想され、ドルの上値を試す展開となりそうです。年初来高値の84円付近を視野に入れ、強気スタンスで臨みたいと思います。

ユーロドルは1.41台で底堅い動き。4月のECBの利上げはおおむね織り込み済みとなっているものの、ビニスマギ専務理事の発言を受けて、5月以降も段階的な利上げが続くとの見方が浮上してきました。米国の出口戦略に関する思惑が足かせとなるものの、明日発表の米国雇用統計を見極めたいムードも強く、積極的なドル買いは手控えられるでしょう。その間ユーロ円はいよいよ上昇が加速する可能性が高まってきました。新年度入りで外債投資拡大の期待が高まるうえ、震災被害や電力不足で日本経済が景気後退に陥る可能性もあり、円の下落リスクも広がっています。テクニカルにも、昨年5月から続いていた105-115円のボックス圏を完全に上抜けしており、当面は上昇モメンタムが強いと見られます。

豪ドルも、株高・コモディティー高・ボラティリティー低下を背景に、高金利通貨・資源国通貨を物色する動きが続くと見られ、当面は上値を拡大する展開と見ます。震災被害拡大や放射能漏れの深刻化を受けて円の先高観が後退する一方、新年度入りで外債投資意欲や円キャリートレードの意欲も刺激されるでしょう。明日発表の中国の製造業PMIが強い数字になるとの見方も、対中輸出の比重が高い豪州経済にとって追い風となる見通しです。


予想レンジ
ドル/円:82.50-83.80
ユーロ/ドル:1.4050-1.4200
ユーロ/円:116.50-118.00
ポンド円:132.20-134.80
豪ドル/円:85.00-86.50

大変残念ではありますが、当ブログは本日3月31日をもって終了とさせていただきます。永らくご愛読いただきありがとうございました。新連載を開始するときには、ツイッターでお知らせしますので、よろしければフォローをお願いします。

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