スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

G7緊急電話会議控え円を売り戻す動き (2011/3/18 (金))

昨日の概況

昨日のシドニー市場早朝にはパニック的な売り殺到で一時76.25円付近まで史上最安値を更新しましたが、日本勢が参入してくると案の定下げ過ぎ感から持ち直し、急落の起点となった79.75円付近まで回復しました。東京市場では日経平均が序盤に一時450円あまり下落し、アジア株も大幅安となったことから78円台へ反落。欧州市場ではユーロドルが1.40台を回復したことから全体にドル売りが強まり、78.30円付近まで下押ししました。しかし欧州株がプラス圏で推移したうえ、日本政府の円売り介入への警戒感が高まったこともあり78.90円付近へ反発。NY市場では、NYダウが序盤から180ドルあまりのプラスとなったことや、「財務省が円売り介入を準備」、「円高阻止へ介入容認・G7緊急声明で調整」などと報じられたことから、79.25円付近まで持ち直しました。なお朝方発表された一連の米国経済指標はマチマチの結果となり、影響は限定的となりました。米2月消費者物価指数は前月比+0.5%(予想+0.4%)、同コアは+0.2%(予想+0.1%)、新規失業保険申請件数は38.5万件(予想38.8万件)。2月鉱工業生産は前月比-0.1%(予想+0.6%)、設備稼働率は76.3%(予想76.5%)、2月景気先行指数は前月比+0.8%(予想+0.9%)、3月フィラデルフィア連銀製造業指数は43.4(予想28.8)となっています。

ユーロ円も、シドニー市場では一時106.20円付近まで暴落し、半年ぶりの安値をつけたものの、ドル円の反発とともに買戻しが入り110円台へ急上昇。欧米株式市場が堅調に推移したことや、政府・日銀の介入に対する警戒感が強まったことから、一時111.25円付近まで回復しました。ユーロドルも、アジア市場序盤には一時1.3870付近まで下落しましたが、株安連鎖一服でリスク選好が回復したことや、スペイン国債入札を無難にこなしたことを好感して1.40台を回復。前回高値の1.4035付近でストップロスの買いを巻き込み一時1.4050付近と昨年11月8日以来の高値をつけました。NY市場では利食い売りで1.3985付近へ下押ししましたが、午後は様子見ムードとなり1.40台前半で小動きとなりました。
なおスイス中銀は予想通り政策金利の中心値0.25%、目標レンジ0.00−0.75%の据え置きを決定。ユーロスイスは特に反応は見られませんでした。

ポンドは、アジア市場朝方には対ドル1.59台、対円も122円台まで急落しましたが、投げ売りが一巡すると1.6170付近、128.05円付近まで回復しました。英中銀インフレ態度調査報告でインフレ期待が4%と2008年8月以来の高水準となったこともサポートとなりました。

豪ドルも、シドニー市場ではパニック的な売りが殺到し一時対ドルは0.9700付近、対円は74.40円付近まで急落。しかしドル円が下げ過ぎ感から急反発すると、豪ドル円も78.15円付近まで回復。欧米株式市場が上昇し、原油・金相場も大幅に反発したことから、対ドルも0.9870付近へ持ち直しました。


本日の見通し

日経平均は序盤に450円あまり下落したものの、引けでは131円安までマイナス幅を縮小。欧州株式市場は7営業日ぶりに反発し、NYダウは161ドル高で終了しました。シカゴ日経平均先物も大証比-40円と底堅く推移しており、本日はなんとか株式市場も落ち着きを取り戻しそうな気配です。ドル円は株安・長期金利低下の流れが断ち切られたうえ、16年ぶりに史上最安値を更新した達成感もあり、本日はひとまず小康状態となる可能性が高いでしょう。

与謝野経済財政相は「生損保各社の保険金支払総額は5000億円にも満たない。国内にある円資産で十分」と発言しており、行き過ぎたリパトリ懸念は杞憂との見方が出てきました。損保協会会長も「ドルを円に換えて保険金の支払いに備える必要はないと思う」と発言しています。地震被害の規模に関しては10兆円とも20兆円とも言われており、保険金支払いも過去最大となる可能性が高まっていますが、地震保険には政府の再保険もあり、損害保険会社の経営に大きな影響はないそうです。日本勢のリパトリを根拠に円買いを進めてきた投機筋も、一旦撤退に動く可能性が高いでしょう。

株安連鎖によるリスク回避が一服し、日本勢のリパトリ観測も鎮静化となると、今後は放射能漏れを懸念した外国人投資家が日本資産を売却、あるいは日本市場から撤退する可能性を意識するべきでしょう。首都圏に勤務する外資系企業の幹部は続々と本国に帰国しているという話ですし、米国大使館を東京から移転させるという噂まで流れていたようです。日本経済が4-6月にマイナス成長に陥る可能性も現実味を帯びています。

G7財務相・中銀総裁は本日午前7時(日本時間)から緊急電話会議を開催し、先ほど終了したようです。間もなく発表される声明では、「円相場の安定」を盛り込み、非常時の円売り介入を容認する姿勢を示す方向。これを受けてすでにドル円は80円台まで急上昇しています。

また原発事故・放射能漏れに関しても、東京電力は東北電力の送電線を原発の敷地内に引き込み、本日にも冷却装置につなぐ予定。電源が復旧し冷却装置を作動することができれば、事態が一気に終息に向かう可能性も出て来るでしょう。昨日の76.25円がセリングクライマックスだったのか、また今日が相場反転の分水嶺となるのか、注目していきたいと思います。

ユーロは、対円を中心に上昇余地を探る展開となりそうです。株安連鎖が一服しリスク選好が回復することや、日本勢のリパトリ懸念が後退すること、また日本政府の円売り介入の可能性が浮上したことで、目先は買われ過ぎた円が売られやすく、ユーロは相対的に買われやすい地合となるでしょう。一方欧州高債務国の信用不安がくすぶっていることや、日本の巨大災害を受けて来月のECBの利上げが見送られる可能性が浮上していることから、対ドルでは一方的な上昇も難しいかもしれません。

豪ドルなど資源国通貨も、株式市場・商品市場の急落が一服していることや、日本勢のリパトリや換金売りも限定的との見方が浮上していることから、本日は反発余地を試す展開と見ます。パニック心理さえ収まれば、過剰な安全通貨志向が修正され、逆に日本の復興需要を見込んだ資源国通貨買いに妙味が出て来る可能性も小さくありません。原油相場も、米政権がリビアへの広範囲の攻撃を容認する国連決議を求めることを受け、一気に101ドル台まで急騰。原油相場と相関が強いカナダドルも反転・持ち直しに向かう見通しです。

予想レンジ
ドル/円:78.50-82.50
ユーロ/ドル:1.3900-1.4100
ユーロ/円:110.50―114.50
ポンド円:127.00-132.00
豪ドル/円:78.00-82.00

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