スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

G7が10年ぶりの協調介入!ドル円・クロス円急反発 (2011/3/19 (土))

昨日の概況

日本時間午前7時からG7財務相・中銀総裁が緊急電話会議を開催し、午前9時に協調介入が実施されると一気に81.50円付近へ急騰。G7は「日本当局からの要請で米・英・カナダ・ECBは為替市場で協調介入に参加する」との声明を発表しました。日経平均が244円高と大幅に上昇し、アジア株も軒並み連れ高。さらに欧州市場序盤、ECB・欧州各国中銀(独仏伊)と英中銀が円売り介入を実施したことから、一時81.95円付近まで上昇しました。しかし欧州市場に入り、大規模介入を行っていた日銀による介入が終了すると81円台前半へ反落。NY市場朝方には、FRBとカナダ中銀が円売り介入を実施したことから81.75円付近へ上昇したものの、想定通りとあって高値更新はならず。午後は介入警戒感が後退するとともに週末前の利益確定の売りが強まり、終盤は80.55円付近まで下落しました。NYダウは序盤に150ドルあまり上昇したものの、徐々に上げ幅を縮小し引けでは83ドル高となりました。

ユーロは、G7の協調介入を受けて対円は111円付近から115.55円付近まで急騰。日銀が電子ブローキングシステム(EBS)経由で、ユーロ買い・円売り介入を断続的に行ったうえ、欧州市場序盤は、ECB・欧州各国中銀もユーロ円で介入を実施した模様です。ユーロドルも、ユーロ円の急騰につられて1.41を突破し、トリシェECB総裁が「インフレに関しては先の会見内容と何ら変更点はなく、強い警戒(strong vigilance)との文言は撤回しない」とタカ派発言したことから、1.4180付近と昨年11月以来の高値を示現しました。一方ユーロ円は、欧州市場以降は上値が重くなり、終盤は利益確定の売りで114.20円付近まで押し戻されました。

ポンドも、G7の協調介入を受けて、対円は128円付近から132.50円付近まで急騰。これにつられ対ドルも1.6190付近へ押し上げられました。欧州市場に入ると日銀の大量介入への警戒感が剥落し、対円は130.50円付近へ反落しましたが、対ドルは株高連鎖やユーロドルの上昇に後押しされ、1.6255付近と約3週間ぶりの高値をつけました。

豪ドルも、G7協調介入を受けて、対円は78円付近から81.35円付近へ急騰し、対ドルも0.9945付近へ上昇。欧州市場では、中国が預金準備率を0.50%引き上げると発表したことから、対ドルは一旦0.9895付近へ反落したものの、株高連鎖・リスク選好の回復を受けて再度下値を切り上げ0.9975付近まで上昇しました。一方対円は、欧州市場以降は日銀が介入を終了したことで上値が重くなり、80.10円付近までじり安の展開となりました。


本日の見通し

ドル円は17日に76.25円まで史上最安値を3円以上更新したものの、翌18日にはG7が10年半ぶりの協調介入に踏み切り、82円近くまで劇的な反発。今週はまさに為替相場の歴史に残る一週間となりました。日銀単独介入には冷淡な為替市場も、協調介入となると話は別。円高予想の最大の根拠であった日本勢のリパトリ観測が後退し、株式市場も持ち直していることもあり、投機的な円買いはしばらく手控えられる可能性が高いでしょう。欧米の株式市場の上昇につれてシカゴ日経平均先物も大証比115円で引けており、来週は株高連鎖・円売り戻しの展開も十分考えられます。リビアのカダフィ政権が停戦を申し出たことを受けて、中東・北アフリカ情勢が改善に向かうとの見方も出て来るでしょう。

ただし冷静に考えてみれば、G7各国は為替相場で日本と利害を共有しているわけではなく、今回の行動は大震災に見舞われた日本への同情から協力姿勢を示したに過ぎません。協調介入が今後も継続する保証はなく、もしかすると一日限りのおざなりなものとなる可能性もあることは留意しておく必要があるでしょう。政府・日銀による昨日の介入規模は2兆円を下回った模様ですが、投機的な円買いの流れを完全に反転させるには、相当量・・・おそらく数十兆円の介入を継続する必要があるでしょう。日銀の強力な金融緩和による援護射撃も不可欠です。また根強いリスク回避ムードを払拭するには、原発事故の収束が不可欠で、まずは明日にも試される外部電源引き込みによる冷却装置の復旧がカギとなるでしょう。過度の悲観論は一旦後退すると思いますが、震災発生前の83円レベルを突破していくだけの楽観ムードとなるとも思えず、週明け以降の介入姿勢や原発の状況を慎重に見極める必要があるでしょう。

ユーロは、トリシェECB総裁の発言を受けて来月の利上げ観測が復活し、対ドルは昨年11月の高値1.4280付近を視野に入れる展開となりそうです。株安連鎖懸念がひとまず後退し、リスク選好が回復することや、協調介入を受けてユーロ円が大幅に上昇したこともサポートとなるでしょう。ユーロ円も、日本勢のリパトリ観測による過度の円高期待が後退したうえ、協調介入への警戒感が当面は継続することから、底堅い動きが予想されます。野村セキュリティーズ・インターナショナルの試算によると、昨日のECBのユーロ買い・円売り介入の規模は推計50億ユーロと決して小さくなかったようです。ただしリビア情勢や日本の原発事故など不透明要因もあり、震災発生前の高値116円を突破していくほどの積極的なリスクテイクもまだ困難。当面は113-115円台程度のレンジで一進一退を続けながら下値を固めていくと見るのが妥当でしょう。

豪ドルなどハイリスク通貨も、10年半ぶりのG7協調介入実現で投機筋もしばらくは円買いに慎重にならざるを得ないことから、相対的に堅調に推移しそうです。東日本大震災から一週間が経過し、極端な悲観ムードやリパトリ警戒が後退する一方、原発事故の収拾のめどが立ては、市場の関心が震災の復興需要に向かい、資源国通貨が恩恵を受ける可能性もあります。目先は株高連鎖期待が高まっているうえ、恐怖指数のVIXも30台から24付近まで急低下しており、割安なハイリスク通貨を物色する動きも出て来るでしょう。


予想レンジ
ドル/円:79.00-82.20
ユーロ/ドル:1.4050-1.4320
ユーロ/円:111.50-116.50
ポンド円:127.80-133.20
豪ドル/円:77.80-82.00

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