スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど大手外資系銀行で、20年以上にわたり外国為替部門の要職を歴任。2006年に独立し、自己資金運用のかたわら、フリーランスの立場で市況・予想記事を提供中。ファンダメンタルズ分析、テクニカル分析はもちろん、オプションなどデリバティブ理論にも精通する、「為替マーケットの語り部」。

商品高背景に資源国通貨が堅調 (2011/3/25 (金))

昨日の概況

ドル円は、円売り介入への警戒感と3月期末のリパトリによる円買いに挟まれ、80円台後半での膠着状態が続きました。欧州市場序盤は欧州高債務国の信用不安を手掛かりにユーロ円が売られたことから80.80円付近へ下押ししましたが、ユーロ円の売りが一服すると81.00円付近へ回復。NY市場では、米2月の耐久財受注が前月比-0.9%(予想+1.2%)、除輸送用機器も-0.6%(予想+2.0%)と下振れしたことから80.85円付近と下値を探ったものの、NYダウが84ドル高と堅調となったことや、米長期金利が3.40%付近まで上昇したことから、終盤は81.00円付近へ持ち直しました。

ユーロは、欧州市場序盤は、格付け会社ムーディーズがスペインの銀行を格下げしたことや、欧州清算決済機構LCH(ロンドン・クリアリングハウス)がアイルランド債取引の追加証拠金を35%に引き上げたことを受けて、対ドルは1.4055付近、対円は113.60円付近まで下押し。しかしECBの利上げ観測を背景に押し目買いが入り、この水準では底堅く推移。英小売売上高の下振れを受けてユーロ買い・ポンド売りの流れが強まると、対ドル・対円も1.41台、114円台を回復。欧米の株価が上昇しリスク選好型のドル売り・円売りが強まったこともあり、1.4215付近、114.95円付近まで上昇しました。なお格付け会社フィッチがポルトガルの格付けをA+からA-に引き下げ、さらなる格下げの可能性がある「クレジットウォッチ・ネガティブ」とすると発表しましたが、すでに先週ムーディーズが格下げを実施済みとあって影響は限定的でした。

ポンドは、前日の英中銀議事録のハト派的な内容を受けて利上げ期待が後退したうえ、英2月の小売売上高が前月比-0.8%と予想の-0.6%を下回ったことを受けて、対ドルは1.62台から1.6095付近、対円は131円台から130.25円付近へ下落。またユーロポンドは0.86台から0.8805付近まで上昇、ポンドスイスは1.47台から1.4590付近まで下落し、ポンドの全面安となりました。過去2回の金融政策会合で利上げを主張したデール英中銀政策委員が「成長がマイナスになれば利上げ主張を撤回する可能性」と発言したことや、格付け会社ムーディーズが「低成長で財政健全化の足並み損なわれるなら、英国のAAA格付けがリスクにさらされる恐れある」とコメントしたことも響きました。

豪ドルは、3月のHSBC中国製造業PMI速報値が52.5(前回51.7)と堅調となったことや、金先物が一時1448ドルと最高値を更新するなどコモディティーの高騰が続いたことから、対ドルは1.02を突破し1.0225付近と1983年の変動相場制移行後の高値(1.0250付近)に肉薄。対円も82.80円付近までじり高の展開となりました。
NZドルも、NZ10-12月GDPが前年比+0.8%(予想+0.7%)となりリセッション入りを免れたことから、対ドルは0.7520付近、対円は60.75円付近へ上昇しました。


本日の見通し

ドル円は本当に動きませんね。81円を挟んだ狭いレンジでの推移がすでに4日目に入っていますが、本日もこれといった材料やイベントはなく、このまま現状レベルでの横ばいが続く可能性が高いようです。3月期末を控えた日本企業のリパトリや月末を控えた輸出企業のスポット円転圧力が上値を抑える一方、80円台ミドルには準公的資金の買いオーダーの噂があり、下値も売り込みづらいところです。ただし81円以上で押し上げ介入が入る可能性は小さく、期末で投資家の取り組み意欲も後退していることから、買い手が乏しい状況であることは確かです。福島原発の放射能漏れも収拾のめどが立っておらず、リスク回避型の円買いが強まる可能性も排除できないことから、バイアスは引き続き円高方向と見ています。市場心理が「介入警戒感」が「介入催促」に変質し、G7の介入姿勢を試す展開となる可能性もあります。週末を前に介入期待のロングの手仕舞いとなれば、介入実施後の安値80.50円付近をうかがう展開も十分考えられるでしょう。

ユーロは、欧州高債務国の信用不安再燃にもかかわらず持ち直し、再び年初来高値圏へ浮上しました。ポルトガルは緊縮財政案の否決とソクラテス首相の辞任を受けて国債利回りが急上昇し、もはやEUの救済を受け入れざるを得ない状況となっています。欧州関係者は「ポルトガルは救済を要請していないが、救済には最大700億ユーロ必要となる可能性」と発言しており、EU各国も支援発動に向けて準備を進めている模様です。ただポルトガルの規模であれば欧州金融安定基金(EFSF)で十分対応できることから、市場のムードとしては、「ポルトガルが支援を要請すればむしろ金融安定につながる」という見方に傾いているようです。いわゆるPIIGSの中で危ないと言われていたギリシャ、アイルランド、ポルトガルが片付くことで、悪材料出尽くし感が広がる可能性もあります(イタリアとスペインは大丈夫という前提)。金融不安が下火となれば、市場の関心が再度来月のECBの利上げ開始に向きやすくなり、ユーロが再び上昇するという読みができるわけです。
原油高を背景にドルの地合が悪化しているうえ、原発事故と放射能漏れで円も買いづらく、ユーロが相対的に買われやすい状況でもあります。どうやら調整局面は最小限で終了した可能性が高く、再度重要レジスタンスの1.4280付近、115.70円付近を試す展開を予想します。

一方ポンドは、英国のスタグフレーション懸念と利上げ先送り観測、ソブリン格下げ懸念を背景に地合が一気に悪化し、本日も下落余地を探る展開となりそうです。当面は利上げ期待が強いユーロにシフトするのが賢明でしょう。

豪ドルは、リビア情勢悪化を受けた原油・金相場の上昇、世界的な原子力政策の後退を見込んだ石炭・天然ガスの高騰など追い風が強まっており、さらに上昇余地が広がってきました。原油への依存度が高い米国経済に対する懸念もあり、対ドルでは史上最高値更新も十分可能でしょう。

予想レンジ
ドル/円:80.50-81.50
ユーロ/ドル:1.4080-1.4320
ユーロ/円:113.80-115.80
ポンド円:129.50-131.50
豪ドル/円:82.00-83.50

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