HOME > 為替のプロの相場一刀両断 > イベント&経済指標
■今月の気になるイベント&経済指標
FXマーケットに詳しい、その世界のプロの方が、今月注目したいイベント&経済指標をピックアップ。FX取引初心者にもわかる視点から、市場へのインパクトに迫ります!?
貿易赤字分をファイナンスできるかどうか。
対米証券投資は米国への資金フローを確認するうえでの重要指標
文さん注目!
2006年7月の経済指標カレンダー
| 発表日 | 発表時間 | 指標・イベント |
|---|---|---|
| 7月7日(金) | 21:30 | 6月米雇用統計 |
| 7月12日(水) | 21:30 | 5月米貿易収支 |
| 7月18日(火) | 5月対米証券投資 |
経済・為替そしてそれに付随する情報の提供を目的としてのみ作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。万一内容に誤りがあった場合、また当内容を用いたために直接あるいは間接的に生じた損失について、解説者はいかなる責任を負うものではありません。
また、為替取引には価格変動リスクが存在し、元本を保証する取引ではありません。
取引に関しての最終決定は必ずお客様自身の判断でなさいますようお願い申し上げます。















私にとって、今年もっとも重要な投資テーマは、米国への資金フローがどうなるのかということ。それを見るうえで参考になるのが、毎月15日前後に発表される対米証券投資です。ちなみに7月は、15日が土曜日にあたることもあり、実際に発表されるのは18日(火)になります。
対米証券投資とは、米国以外の海外諸国が、米国の証券に投資した金額をまとめたものです。米国の証券とは、おもにTボンドと呼ばれる米国財務省証券(国債)と、米国の株式になります。つまり日本をはじめとして、米国以外の国々から、こうした米国の証券に対してどの程度の資金が投資されているのかを見るうえで、参考になる指標です。
2004年以降は、いわば貿易赤字をかろうじて埋めている状態
なぜ、対米証券投資が注目されるのかというと、ここ1〜2年で外国為替市場において注目されている、米国の貿易赤字と深い関係があるからです。
現在の米国は、言うまでもなく貿易赤字国です。米国は、日本や中国などのアジア諸国から大量にモノを輸入しており、その金額は、米国からほかの国々に輸出されるモノの金額を大きく上回っています。つまり、米国が今のまま海外からモノを輸入し続けるためには、それを購入するのに必要な資金を、どこかから調達してこなければなりません。その調達される資金が、対米証券投資に反映されるのです。
したがって、たとえば対米証券投資の金額が、米国の貿易赤字の金額を下回ると、米国は海外からモノを輸入するための資金を調達できないということになります。ちなみに、2004年からの貿易赤字の平均額は571億ドルですが、これに対して同じ期間中の対米証券投資の平均額は688億ドル。辛うじてファイナンスが出来ている状態ですが、単月ベースで見ると、徐々に対米証券投資の金額が減少傾向にあることが見て取れます(下図参照)。
対米証券投資の推移
おそらく、この背景にあるのは、世界各国の中央銀行が持つ外貨準備を、米ドルからユーロにシフトし始めたことや、昨今の米国金利上昇で、米国債券に投資することが値下がりリスクにつながることなどがあるからです。今後、対米証券投資がこのまま減少し、米国が抱える巨額の貿易赤字のファイナンスに支障を来たす状況になれば、おそらくドル売り圧力が一気に高まっていくでしょう。
このまま大幅な目減りが続けば、ドル売り圧力が高まる
したがって、7月18日に発表される5月の対米証券投資については、おそらく4月の数値よりも上昇するということで、とりあえずは一安心かも知れません。しかし、問題はそれ以降の数値です。
新興市場のごたごたが一段落し、再び新興市場の成長性が注目されるようになれば、米国よりも新興市場への資金シフトが加速する可能性があります。そうなった時、対米証券投資の金額が現状の水準を維持できるのかどうか。維持できないとなれば、米国の貿易赤字のファイナンス問題が再び浮上してきます。それだけに、目先的にも、また中長期的にも、対米証券投資の推移には十分注意してウォッチしておく必要があるでしょう。
(インタビュー・2006年7月3日)